1992年公開の映画 スタジオジブリ

飛行艇パイロット達の意地と浪漫とプライドを描く硬派なストーリーでありながら、主役のポルコが太った豚人間というミスマッチぶりが多大なインパクトを生んでいるスタジオジブリ作品。宮崎駿監督曰く中年のための映画であり好みが分かれる内容のため、老若男女問わず楽しめる作品が多いジブリ映画においては異彩を放っているかもしれません。ですがひとたびそのハードボイルドな世界観に惹かれたならば、渋くて男臭い魅力をこれでもかと堪能することができました。そんなわけで、今現在「ジブリ映画で一番好きな作品は?」と問われた際に答えるのはラピュタか豚かの2択だったりします。非公式の人気投票でも上位常連のラピュタに対し、こちらはトップ10圏内に入れるかどうか程度のポジションではありますが、個人的な評価では一二を争っています。

ジブリ作品であれば…いえ、ジブリに限らずアニメ作品であればメインキャストは基本的に少年少女ですし、これが対象年齢の高い大人向け作品であったとしても、主役を務めるのは大抵は20代程度の美男美女でしょう。しかし本作の主人公は中年で、しかも体型は肥満気味で整ってはおらず、顔付きに至ってはなんと豚です。その風貌を客観的に評せば絵に描いたようなブサメンとしか言えないであろうポルコ・ロッソですが、実際に映画を観ればその豚男がダンディなイケメンにしか見えなくなるところがミソ。これも一種の「ギャップ萌え」と言えるのか、外面がまるっきり豚だからこそ、その振る舞いや生き様といった内面の格好良さが異常なまでに映えているのです!

そして主役はイソップ童話さながらの豚人間なのに、物語自体にはファンタジーやメルヘン要素は一切含まれておらず、プロペラや機関銃の音で彩られたドッグファイトや泥臭い殴り合いがリアルに描かれている点が重要。この極めて硬派な作劇が男の浪漫中枢をビンビンに刺激し、その果てしない魅力に私の脳は焼かれました。ちなみに私は「大人になったから良さが分かった」のではなく少年時代から本作が大好きだったので、言うほど中年限定の映画じゃないとは思っていますw
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