出典:羊のうた

容姿も性格も好みのツボにクリティカルヒットしたため、連載終了から既に数十年が経過した今なお強烈な愛着を抱き続けているのが八重樫さんです。そもそも「羊のうた」自体、短編の中では人生でも最上位に大好きな漫画なのですが、その一因になっているのは間違いなく彼女の存在。どのくらいの推しかと言えば、20世紀に登場した全女性キャラの中でもトップを争うレベルです!

作品の冒頭ではのんきでマイペースなイメージが先行しており、一砂に対してもなんとなく素っ気ない態度に見えました。なので当初は「一砂から八重樫さんへの感情」だけが重いような印象を持ちましたが、物語が進むにつれ「八重樫さんから一砂への感情」がグングンと高まっていき、それと比例するようにヒロインとしての存在感も加速度的に増していく作劇は見事。描写されるたび紙面から魅力が溢れ出してくるので、その繰り返しによって私もすっかり心を奪われてしまいました。作中においても「笑わない女」と評されたことがあったように、一見した印象では大人しくて気弱な雰囲気の八重樫さんですが、それはあくまで外面の話です。心の内にある芯は非常に強く、口数は少なくとも言うべきことはハッキリ口にする性格は極めて素敵。たとえ一砂から強く拒絶されても諦めず必死に寄り添おうとするその意志力は果てしないほど美しく、感情が強く揺さぶられました。

終盤では千砂の体調悪化に伴って一砂は看病に付きっ切りとなり、最後には心中さえも選択してしまいます。その時の彼には眼前で苦しむ千砂の姿しか見えておらず、ずっと彼を想い続けた八重樫さんの存在が一砂の行動を思い止まらせるだけの影響力を与えられなかったという現実には一抹の寂しさを感じました。お互いに好意があるからこそ拒絶され、高城の血筋とは無関係な立場ゆえに「蚊帳の外」という役割にならざるを得なかった八重樫さん。そんな彼女は限りないほどの薄幸オーラをまとっているのですが、そうした部分も含めて凄まじく魅力的なヒロインで在り続けたと思うのです。
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