1979年公開の映画 東京ムービー新社

私は1990年代に放映されていたルパンの長編シリーズが好きで、テレビスペシャルや劇場版が地上波で放映されるたびビデオに録画し、何度も観返していました。そうして触れてきた長編は全部で10本前後になりますが、その中でも特に大好きなのがこの作品です。とはいえ本作は従来のルパン像とはキャラ造形に異なる部分があり、特に原作ファンから苦言を弄されることもしばしば。しかし私の場合、他で描かれているようなハードボイルドなルパンが好きなのと同時に、本作における落ち着き成熟したおじさまルパンにも強い魅力を感じています。賛否両論があることは承知の上ですが、やはり現状、私にとってのルパン最高傑作がカリオストロなのは間違いありません。

本作が劇場版として公開されたのは1979年のこと。当時はまだ生まれてもいなかったので、私が本作に触れたのは1990年頃に金曜ロードショーで放映された時が初めてでした。その時点ですら既に10年前の映画だったわけですが、とても昭和に作られたとは思えないレベルのクオリティには心底圧倒されたことを覚えています。映画の開始早々、国営カジノから大量の札束を盗み出すルパン一味という、まずこの「つかみ」となる部分がとてつもなく秀逸。流れるように本作の世界観や目標が提示され、最初の2分程度で必要な説明を全てこなして物語に没入させる手腕は圧巻でした。

もちろん冒頭以外にも好きな場面は数多く、「どっちにつく?」「女ぁ!」「だろうな!」から始まる一連のカーチェイスはもちろん、ミートボールスパゲッティを取り合う2人とか、アナウンサーに扮した不二子と銭形が白々しいコンビプレイでゴート札の秘密を暴くシーンとかは特に印象的な一幕です。そんな中でもイチオシなのはルパンととっつぁんが休戦協定を結び、地下から脱出してオートジャイロを奪うまでの一連のシーン。テレビ版ではコメディリリーフとして情けない姿を晒すことも多い銭形ですが、本作においてはルパンと対等のライバルとして有能ムーブを連発し、物語のラストでも伝説の名台詞をもって作品を締めくくってくれた見事な名脇役でした。
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