1994-1999年連載のマンガ 週刊少年ジャンプ

明治時代初頭を舞台とした剣客漫画。ストーリーはオリジナルですが随所に史実が絡んでおり、新選組や大久保利通など実在の人物も登場しますが、漫画として分かりやすくアレンジされているため歴史に詳しくなくとも理解は困難ではありません。そもそも私自身も日本史に興味がなくロクな知識を持たないので、昔からなんとなく「歴史モノ」に苦手意識があり時代劇や大河ドラマにも一切触れることなく生きてきたのですが、本作にはそんな素人ですらも熱中できるほどの勢いがありました。作中の時間軸こそ明治ですが時代掛かった小難しい言い回しが多用されているわけでもなく、リアルで正確な時代考証よりも少年漫画らしいテンポと分かりやすさを重視した作風。そのため良い意味で歴史を感じさせず、あくまで「少年ジャンプのバトル漫画」というエンターテイメントに徹しているところが大きな魅力だと思っています。

剣心達も大概が超人とはいえ舞空術やエネルギー波を使うわけではないので、同じジャンルの漫画と比べれば比較的現実に即した描写がベースになっているこの作品。そのため作中に登場する技術にもハッタリの利いた理屈付けがされているのが、本作ならではの面白い味付けになっています。特に二重の極みは誰もが真似したくなる絶妙な技巧で、ふざけて友人と殴り合ったのも良い思い出。時には「斬撃を飛ばす飛飯綱」や「空中で2段ジャンプする疾空刀勢」などリアリティをかなぐり捨てたトンデモ必殺技が飛び出すこともありますが、極めてダイナミックな画風がもたらす謎の説得力によって押し切るだけのパワーが感じられました。

また剣客同士の斬り合いだけでなく剣心の生き様も作品のメインテーマになっているため、バトル漫画でありながらも心理描写が非常に巧み。人斬りに伴う罪の意識、不殺への覚悟と葛藤などが繊細に描かれ、少年漫画としての「燃え」と相反するような割と湿っぽい要素にも富んでいました。そうした部分は好みが分かれそうですが少なくとも私としては大いに魅力を感じており、だからこそ一般的には人気の高い京都編に比べて賛否両論が激しい人誅編にもかなりの思い入れがあります。剣心が抱く罪悪感や過去の復讐という部分に焦点を当てているので陰鬱とした展開が続く章ではありますが、だからこそ他にはない独自の読み心地があり強く印象に残りました。少なくとも「るろうに剣心」という物語を締め括るにあたっては、王道バトル展開だった京都編よりも相応しい最終章だったと思っています。
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