昭和生まれの古参オタクによる推し語り

昭和から令和まで! 古参二次元オタクが、歴代の推しゲーム・アニメ・マンガ・キャラの感想やレビューを書き殴っています。

推し作品語り 114作目:羊のうた

1996-2002年連載のマンガ コミックバーガー

時に冨樫義博や萩原一至、井上雄彦などと共に「遅筆漫画家」という不名誉な称号で呼ばれることもある冬目景の代表作。奇病に侵された一砂達の苦悩と葛藤、徐々に社会から隔絶されていくどうしようもない閉塞感といった繊細な心理を丁寧に描写しており、スカッと爽やかな展開など皆無に等しい仄暗い作風が特徴です。全編通して陰鬱な雰囲気を漂わせていますが、しかし同時に美しさを感じるほどの情緒にも溢れており、胸を締め付けられるような深い情動を味わうことができました。

既にかなりの回数を読み返しているにも拘らず、そのたび感傷的になってしまうのがこの作品です。決して大事件が起こるわけではなく、高城家の周囲に限定された狭い範囲で淡々と話が進んでいくのですが、その内容は極めて抒情的で読み手の心を強烈に揺さぶってきます。私も作中に漂う独特の空気感に魅了された読者の一人であり、単行本10巻以内で終わるような短編作品としては、これまでに触れてきた全漫画の中でもトップクラスに好きなのが本作。常人が抱く吸血行為に対するジレンマや忌避感をも入念に描写しており、吸血鬼モノとしての完成度は圧巻です。

和風ホラーなのか、オカルトなのか、あるいはラブストーリーなのか…ジャンルは一概に定義できませんが、いずれにせよ本作最大の魅力は登場人物達の巧みな心理描写なのは間違いありません。一砂と千砂を中心としたメインキャラそれぞれの心の機微が極めて綿密に描かれているため、否応なしに感情移入を誘発されます。どこが終着点なのかも分からない絶望の中から僅かな希望を見出そうとする一砂達の生き様は哀しくも感動的で、最終話のビターな帰結も含めて強烈に胸を打ちました。更には千砂と八重樫さんというタイプの異なるダブルヒロインが、双方ともにとんでもなく魅力的というのも本作の大きなポイント。特に八重樫さんに関しては推しキャラ語りの個別ページでも詳しく語っていますが、一見すると大人しそうに見えて実際には芯の強い性格に対して凄まじく惹かれ、限りなく理想のヒロインとして今なお強烈な思い入れを抱いています。

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前後の推し作品

113作目:東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.

115作目:天 天和通りの快男児

 

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