1988-1990年発売のOVA AIC

同名の成人向け漫画を原作とする異色のロボットアニメ。本作はOVA化するにあたりR-18要素をカットして全年齢向けとし、それに伴い内容を改変・再構築したものです。ケレン味のあるバトルシーンと、敵味方がそれぞれ持つ様々なコンプレックスに焦点を当てた人間ドラマとが同時に展開されるため、短編ながら内容は濃厚。その独創性には私も強く魅せられました。

まず本作は30分のOVAが全4巻ということで、OP・EDを考慮すると2時間にも満たない尺しかありません。対して敵幹部はラスボスを含め8人と大所帯なので、普通に考えれば全員を撃破するには時間が全く足りないでしょう。しかし、それを無理矢理に実現したのが天のゼオライマーなのです! 2010年代っぽく言えば転生した超天才の俺様が最強ロボで無双してみた件といった具合の冗談みたいな内容で大暴れするわけですが、その笑えるほどにぶっ飛んだ展開こそが本作の最高に面白いところ。放映時間に限りがあることがむしろ良い方向に作用したのか余計な要素を極力排除した作劇になっており、出撃! 苦戦! 覚醒! 殲滅! という気持ちのいい起承転結が短いスパンで繰り返されるのが素晴らしく爽快です。そうした楽しさは主人公兼黒幕である木原マサキのキャラクター性にも起因しており、「その程度の手が見抜けないと思ったか?」「茶番は終わりだ…!」など主役とは思えぬ台詞を連発しながら敵機を分子分解していく姿には魔性の魅力がありました。当時の関俊彦さんはデビュー直後だったはずですが、とても新人とは思えぬその貫禄は必見。

対する美久も鉄骨パーツ系ヒロインという絶大なインパクトの持ち主なので忘れようにも忘れられず、ボカロをあまり嗜んでいないこともあって今でも「ミク」と聞くと初音さんより先に彼女を思い浮かべてしまうほど。八卦衆も立ち位置だけ見ればやられ役ですが、どいつもこいつも濃いキャラのおかげで短い登場時間の中で十分なインパクトを残してくれ、その散り様も含めて最高の個性を発揮していました。短編でありながら、今も記憶に残り続ける印象深い作品です。
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