2000-2004年連載のマンガ 週刊ヤングマガジン

前作でありシリーズ初代作でもある「賭博黙示録」が最高に面白かったので、そのまま流れるように本作へと移行した私。ですがこうした漫画シリーズの場合はたとえ第1作目が凄まじい名作だとしても、作者がそこに長年温めてきた渾身のネタや熱量の全てを注ぎ込んでしまった結果、続編は微妙になるというパターンもそれなりに散見されます。そのため私としても期待半分不安半分といった心境で本作を読み始めたのですが、結果的にそんな心配は取り越し苦労に終わりました。

作品の肝になっているギャンブルの完成度は黙示録と同等かそれ以上で、相変わらず息を呑むほどのクオリティ。私は本作の題材になっているチンチロやパチンコをリアルで体験したことが一度もなく、そのため内容やノウハウに関する知識がほぼ皆無でした。であるにも拘らず全く混乱することなく楽しめたのが本作の特筆すべき点だと思っており、チンチロは基本的なルールを分かりやすく教えてくれますし、パチンコに至っては細かな仕様など一切把握していなくとも問題なく没入できる構成になっているのが凄まじいいところ。

また本作では、黙示録の時以上に悪役を気持ち良くぶっ飛ばすカタルシスが甚大です。今となっては外伝漫画「ハンチョウ」の影響でおもしろおじさんというイメージが定着している大槻ですが、原作における班長は嫌がらせどころか殺人未遂までしているクズ野郎。そんな悪党だからこそカイジ達45組の逆襲によってイカサマが暴かれ周囲から糾弾され信用が地の底に落ち、必死に貯め込んだ2000万ペリカを根こそぎ奪い取った瞬間の爽快感は筆舌に尽くしがたいものがありました。沼パチンコ編のボスである一条も班長と同じく悪辣な人物だけになんの罪悪感も気兼ねもなく破滅させることができ、ラストの大掛かりな仕掛けにも大興奮した次第です。

本作には前述の長編2つが詰め込まれていますが、そのどちらにもダレる期間が存在せず面白さだけをギュッと凝縮しており、これほどの内容を全13巻に収め切っているのは驚異的。時に冗長な引き伸ばしを批判されることもある福本作品ですが、少なくとも破戒録における福本伸行先生は漫画力が神掛かっていたと思います。最初から最後まで面白さが持続していた、最高のギャンブル漫画でした。
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