1997-2004年連載のマンガ 月刊少年ギャグ王

DQを題材とした書籍も色々と読んできましたが、「ダイの大冒険」のようなオリジナルの世界観ではなく特定のナンバリングをモチーフとしている漫画の中だと、際立って強い思い入れを抱いているのが本作です。元ネタのDQ5はシリーズの中でも一二を争うレベルで大好きですし、また幸宮チノ先生がDQ4コマ劇場の常連で馴染みのある作家だったことも追い風となり、連載開始当初から大きな期待感に溢れていました。

こう言ってはなんですが、そもそも「ゲームの漫画化」は微妙な出来になることが多いメディアミックスです。とりわけ元ネタがRPGだと原作のストーリーが長大ゆえに忠実な再現をすることが難しく、中盤の山場で「俺達の戦いはこれからだ!」エンドになったり、あるいは大幅に端折りまくりの巻き展開になったりしがち。ですが本作はDQ5を題材としつつも、原作再現ではなくゲーム本編では詳しく語られなかった空白期間を描くというコンセプトになっているのが極めて秀逸なポイントでした。おかげで「原作にあったあの描写が省略されていて残念…」みたいなネガティブ感情を抱く隙間が生じずに、むしろ本編の裏にあったかもしれないという想像が膨らむ物語を存分に味わうことができたのです!

原作キャラとオリキャラの両方が登場しますが、一方だけに偏っておらず様々なキャラが活躍するのでバランスが良好。主人公のテンソラや原作における主要人物のサンチョが目立っているのと同時に、ゲームではモブに等しかったドリスをメインどころに据えているのは名采配でした。仲間モンスターの選定もまた絶妙で、ピエールに代表される「頼りになる強キャラ」は少なく、戦力としては二線級のメンバーというのが面白いところ。だからこそ彼らの力に頼りきりにはならず、幼いテン達がパーティの中心戦力になっていても違和感を覚えない見事な構成になっています。ストーリー上の重要ポジションに陣取っているカデシュも極めて魅力的なキャラクターとして描かれており、その来歴や結末を含めてオリジナルストーリーとしての完成度は屈指。そのためDQ5の付属品としてではない、ひとつの独立した物語として最後までずっと熱中させられました。また原作におけるネームドキャラが常時出張っているわけではないからこそ、逆に本筋から逸れた外伝エピソードにおいてヘンリーやフローラといった面々がゲスト出演してくれた際にはテンションが爆上がり。そのあたりのファンサービスにも抜かりがなく、非常に理想的なスピンオフ漫画だったと思っています。
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