昭和生まれの古参オタクによる推し語り

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推しキャラ語り 91人目:鳴海歩

出典:スパイラル ~推理の絆~

創作物において「不幸な主人公」は数多く存在しますが、歩くんの不幸度はその中でも相当な上位にランクされるでしょう。あまりにも不幸過ぎるがゆえ、本編ラストは雰囲気こそ晴れやかに終わりましたが状況を考えればとてもグッドエンドとは呼べず、たとえ叶わぬ願いだとしても彼の幸せを祈らずにはいられません。その「祈り」こそが歩の希望であり願望という事実もまた辛い。

知識や推理力といった分野は言うに及ばず、ピアノや料理の腕前はプロ顔負けで、バスケの描写を見た限りでは運動神経も十分以上に持ち合わせているはず。こうしてスペックだけを列挙するなら「チート主人公」と言われてもおかしくないほどの才能に満ち溢れているのが歩くんです。しかしながら、すぐ傍にそんなチートが霞むレベルの現人神が存在したため幼い頃から強烈な敗北感に苛まれており、天才なのにトラウマまみれで卑屈という極めて独特な人物像を形成。能力は極めて高いにも拘らず態度は後ろ向きという歩のメンタルはなんとも不安定ですが、だからこそアンビバレンスな魅力を発揮していると思います。そうした生い立ちが影響し中盤までは己に自信を持てず煮え切らない態度が目立ったものの、ひよのちゃんに背中を押されたり物理的に腹を殴られたりして少しずつ生来の才能が開花していく過程には絶大なカタルシスがありました。たとえ清隆には及ばずとも秘めた才能が人類最高水準なのは間違いないので、精神的に一皮剥ければ完全無欠と化すのも必然というもの。火澄との対決を経て覚醒し、神の思惑すらも覆した歩の姿は極めて凛々しく高潔に映りました。

表面上は冷淡な態度を装ってはいますが、近しい人のピンチを放っておけない根っからのお人好しでもあり、特に小説版ではその損な性格が顕著に発揮されます。意図せず騒動に巻き込まれて悪態を付きながらも、魔法のように事態を解決していく歩はあまりにもカッコ良く、あんな姿を見せられては並み居るゲストヒロイン達が次々と撃沈されていくのも納得というもの。数多の魅力に溢れた名主人公でした。

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